虚労虚煩し眠るを得ず、酸棗仁湯これを主どる

金匱要略』という古典に「虚労虚煩し眠るを得ず、酸棗仁湯これを主どる」と書いてある。「心身が疲れて眠れない人には酸棗仁湯を使うとよい」くらいの意味である。私は疲れるとすぐに寝てしまう体質なので、「疲れて眠れない」の感覚がイマイチわからなかった。
けれど、今週はまさに疲れて眠れない一週間だった。大学から帰って布団に入っても、いつまでも眠らず、入眠しても浅い眠りのままだった。これはマズいと思って洋薬(サイレース1mg)を飲んだら、そこそこに眠れた。サイレースの素晴らしさを改めて実感した。この症状を睡眠医に話したら、夕方以降にワイパックス抗不安薬)を飲んで、活動レベルを低下させておき、眠前に弱めの睡眠薬を使うほうがよいと言われた。そういうものかと思った。
2000年前の中国人も同じ症状に悩んでいたのだろうか。酸棗仁湯は主に老人に使う処方なので、私には使いづらいと思うけれど、睡眠薬の副作用を避けたい場合(たとえば老人の早朝覚醒)にはよい処方かもしれない。まあ、ベンゾジアゼピン類はかなり完成度の高い薬なので、果たして漢方薬を選ぶ余地がどれほどあるのか疑問である。