命の泉が崩壊した

スヌーピーのティーポットが割れた。チャイナ服を着たスヌーピーが側面にあしらわれていたので、中国茶ジャスミン茶)を入れるのに使っていた。買ってまだ1か月だったけれど、このティーポットでほとんど毎日、お茶を入れていた。取っ手の部分がスヌーピーの姿になっていた。とても丁寧に作られていたのだが、それがあだとなり、取っ手の部分を中心にティーポットは崩壊した。殺したのは私である。
無残な姿となったスヌーピーを前にして、私は涙を流した。ハーブティー研究家の私であるが、紅茶、緑茶、中国茶も大好きである。とりわけ、缶のジャスミン茶(私は沖縄風に「さんぴん茶」と呼んでいる)にぴったりの茶器だったのに、まさかこんな簡単に壊れてしまうなんて。あまりにも早い死だった。彼はちょっと生き急いだのかもしれない。缶はもうすぐ底を尽くところで、沖縄の友人に「さんぴん茶どこで買えるかなあ」なんて、つい昨日電話で話したばかりだった。それなのに。
どんな飲み物よりもお茶が好きな私にとって、茶器は命の泉である。人間は植物から茶を作ることを覚えた。世界でいろいろな植物がお茶として使われ、とりわけ中国文化圏ではチャノキがその主流を占めることとなった。西洋諸国がチャノキを舶来品として楽しむようになってからは、チャノキの値が高騰したようだ。栽培技術の向上に伴い、日本や中国でチャノキは貴族から庶民までに愛される飲みものとなった。とりわけ沖縄の人はお茶をたくさん飲むそうだ。
ジャスミン茶とは、粗悪な茶葉の味をごまかすために、ジャスミン花で香りづけしたものであり、通常は若干発酵させたチャノキを用いる。香りづけしたチャノキの葉であるから、イギリス風に言えば「flavored tea」である。アップルティーやアールグレイなどと同じ分類になる。高級なジャスミン茶も存在するが、沖縄を含め日本ではほとんど普及していない。ジャスミン茶さんぴん茶)と言えば、庶民のための安茶であり、ウェッジウッドの茶器で飲むのはコントである。中国茶の作法をふまえるのも馬鹿らしい。おおざっぱに淹れてがばがばと飲む。それがジャスミン茶だ。
ああ、スヌーピーのティーポットさん。この1ヶ月間はとても楽しかった。毎日美味しいさんぴん茶をありがとう。壊しちゃってごめんね。修復しようとしたけど無理だったよ。しばらくはお休みするけど、これからも中国茶を飲みつづけるつもり。そのときはあなたのことを想い出すから。許してね。
合掌。